心のプロセス

自分の心のプロセスを明確に理解して自覚し、制御抑制(コントロール)し調整してゆく事が、自分が自らの真の主人となり自らを清め高め磨き、智慧に基づく歓びに満ちた平安で悦楽な奥深い堅固な幸福な人生を築く唯一の道である。
この世界の全て(物質的エネルギー・非物質的エネルギー)は不安定という本質による全宇宙規模の途方もない安定化運動なのであり、心身(身体的エネルギーと心的エネルギーの五つの集合要素⇒五蘊)もまた同様であり、それは生存し、存在し、再存在し、増大し、一層蓄積しようという欲望(煩悩)の意志(渇望・愛着)であり、心も不安定さによりドゥッカ(苦・痛み・不満・不完全さ・儚さ・空しさ・脆さ・弱さ・怖さ・無常さ)を生じ、安定化への欲望による運動エネルギーにより生かされているのである。
①本質的意志により渇望の衝動を生じる。
        ↓
②渇望の衝動は欲望の感覚を生じさせる。
        ↓
③感覚を感受した五蘊は五感官を駆使し
 外界に向かい衝動を満たしてくれそう
 な物事を捜し求めたい意識(概念)を生
 じさせる。
        ↓
④外界から感受した刺激や情報に対して
 五蘊は本質的な意志(永遠に存在したい)に、
 〇適うと感じる物事に対して貪り(貪欲)
 〇害すると感じる物事に対して怒り(瞋恚)
 〇間尺にあわない物事に対して不満(痴愚)
 や好嫌・良悪・優劣・苦楽・快不快・適不適
 などの感情を意識(潜在概念)する。
        ↓

五蘊が潜在域において生じさせた意識(概念)
 を、表層の思考域において言語化させ、思考
 を加え、主観を生じさせる。
        ↓
⑥感情や情緒というバイアスをかけた主観を
 理性による客観的理解認識能力により調整し
 見解を持つ。
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⑦主観は見解に対して執着すると感情的・感覚的
・情緒的に捉えようと雑念し、自分のとり都合が
 いい妄想に入る。
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⑧それを見張っている理性が気付き妄想を止めな
 ければ妄想は深まってゆき、害と成る物事を
 壊してでも排除したいという欲深い感情的な妄
 想へと入ってゆく。
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⑨妄想を止める事が出来ずに日々、妄想を繰り返
 してゆくと、自我意識が強まり、我欲を中心と
 した主観的思考をするようになる。
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⑩条件(因縁)により生じ滅する常ならざる現実
 世界において自我の都合により思うように生き
 る事など出来ず、ドゥッカ(苦・悩み・痛み・
 不満・迷い・悔やみ・怖れ・儚さ・空しさ・惨
 めさ・脆さ・弱さ・無明・無常)から逃れられず
 一時的で短命な快楽で心を辛うじて癒しながら
 生きて行くこととなる。

心(想念)とは泡のようなものでしかなく、現れては
消えてゆくものなのに、行蘊(サンカーラ)に蓄積さ
れた過去の記憶の残滓やカルマ(精神性)やアーサバ
ー(浸み込んだり浸み出した汚穢)などを条件とした
欲や執着による自我意識により妄想を増大させ、ド
ゥッカを深めてゆくのである。
例えは悪いが、苦(ドゥッカ)という種火に欲や執着と
いう油を注ぎながら、燃え滾らせた苦(ドゥッカ)の炎
で、存在を安定させる拠り所(精神的支柱)である鉄板
を熱し続けて、その上で生きる自分は熱さを逃れよ
、飛び上がり一時の安堵や快感を得て、降ちた時の大
いなる苦しみの中を、飛び跳ねながら辛うじて生きて
いる姿こそ、多くの人の生き方だと言えるのではない
だろうか。