俯瞰と大観

人は自分を基準とした尺度でしか物事を見ることが出来ず、その尺度に沿った物事に対して感覚.感情.主観は興味を抱いたり.気に入ったり.捉われたり.無闇に信じたりしながら.自分の認識.判断は正しいと思い込んでしまい.一歩下がって.一歩離れて客観的.理性的に俯瞰し大観することが不得手なのです…
人間とは、多くの先入観.思い込み.錯覚.誤解.自己暗示.染脳(洗脳).固定観念.既成概念.迷信.妄想.仮説.偏った情報.知識.記憶の残滓に晒されているのです…
無常な現象でしかない感覚.感情.主観を尺度として物事を測れば、視野の狭い自我意識に翻弄されることとなり、それが苦を造りだすのだから…
喩え金財に満たされようと.貧しい心で世界を見れば.何処も得か損か.敵か味方か.快か不快かで物事を量り.量られながら生きる事となり.欲望の炎に身を焦がしながら決して真に満たされる事がない…
喩え狭い一間で暮らしても.広い心で世界を見れば.世界は微笑みを浮かべながら喜びをで舞い歌いながらも厳しく我れを真理へと導く…
喩え広大な領土を有しても.狭い心で世界を見れば.周りには敵と仇と裏切り者ばかりで世界は憂いと哀しみに咽び泣きながらも甘言と諂いの中で風の前の塵の如き無常な輪廻を繰り返す…
英雄と称される者は憐れである…
新たなる敵の出現と若き挑戦者に負い落とされる恐怖と裏切りの猜疑心に、老うに従い苛まれ.やがては訪れる臨終の時.後顧の憂いと共に.歩いた道に積み上げた類々たる屍骸に.己の業の深さに慄然とするもの…
喩え無一物で暮らしても.富貴な心で世界を見れば皆.諸行無常の世の中を懸命に生きている同胞.同族.生命であり、我が身を愛する如く.我が身を愛おしむ如く.我が身を慈しむ如く.我が身を受け入れる如く.大海の水の一滴とならん…
その為には、自我の妄想から目覚め覚醒し、捨て去り離れ捨離し、乗り越え超越し、解き放たれ解放され、俯瞰と大観を得なければならず真に幸せになる為には集中力が必要であり、その集中力も外世界の物事への集中.依存ではなく、自分と世界の存在性.
関係性.そして真理への内観や内々観による洞察.気付き.理解なのです…
●俯瞰と大観
(魂や霊魂などは妄想です…意識の幽体離脱)
私は今、電車の先頭車両で壁面に背中を預け内観(瞑想)しながら立っている…
意識は我が身を離れ、上空から[まぬけ顔]をして立っている自分自身を眺め.観察し.分析し.思惟思推し.理解に努める…
没我し過ぎると下車駅を通り過ぎてしまうが.
次に意識は外世界に向かい、凡そ一千億の太陽(恒星)からなる天の河銀河を通り過ぎ、凡そ一千億の銀河群.銀河団を通り過ぎ、この大宇宙の事象の地平面(此岸の淵)へと至る…
そこには成仏が叶わず次の輪廻転生の時を待つ亡者で満ちている…
その大宇宙の果てから.遥か彼方にある地球を探しても余りにも遠く.余りにも小さき地球など見つかる筈もなく、況てその地球の上で蠢く微生物の如き人間を識別し.導き.救い.時には天罰を下すという神仏など在ろうはずなきを識るだろう…
小さく狭い了見で.つまらない物事.どうでもいい物事.下らない物事に、拘り.捉われ.貪り.欲し.執着.愛着する心が和らいでゆくだろう…
全ては因果律(縁起)に従った相補性(相互関係性)による膨張と安定と存在への意志(業☆形成力)により成り立っていることを識るだろう…