自我と自分

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今日は[自我]という世俗諦への重大なテーマと[自分]という存在に付いて説こう。
釈迦尊(ブッダ)の入滅後.この[自我]と[無我]が正しく理解されない処から世俗諦の多くの誤解や間違った見解や観念が生み出されて来たとも言え.幾百千の気付き(小悟)から始まって[無我.アナッタ]を証得するのが世俗諦(諸法無我)であり、仏教の一大テーマである生死の実相を含めた.この世界の真理(理法.ダルマ.天地自然の法則・諸行無常)を透察(透視)し.絶対叡智の顕現を以って真理(真実.事実.現実.実相)を理解し、無明を捨て去り離れ(捨離)、目覚め(覚醒)、乗り越え(超越)、解き放たれ(解放)されるのが勝儀諦(大悟)であるのだが、社会というものは何時の時代も真理や事実を素直に認めて受け入れる性質や理知は持っていないものであり、権威.文化.伝統.歴史.風格.格調.習俗.信仰.先入観.思い込み.錯覚.多数意見.風聞.固定観念.既成概念.暗示.誤解.染脳(洗脳).捏造情報.知識.主観などが優先的に信頼されてしまうという頑迷さと無明さを具していて、社会は電灯のお蔭で明るく照らされるようになったが、人の心は.自らの心を照らす僅かな燈明の光さえ失いかけて.社会に溢れ返る知識や情報や能書き.戯れ言.美辞麗句(プラパンチャ)に翻弄され.迷妄を深め.錯覚し.自惚れて.盲目的に.手探りで.不毛の荒野を彷徨っている
アイデンティティ(自我同一性)とパーソナリティ(自己同一性)とエゴイズム(仏教でいう自我)
西洋心理学でいう自我同一性と自己同一性とは魂.霊魂論を基にしているのに対して、仏教の世俗諦では魂.霊魂.霊体など永続的.本体的.主体的なものの否定(諸法無我)による無我な空性の証得であり、心身とは現象に過ぎず空なる本質のものであると明確に理解する事にある。
●潜在域の末那識(自我意識・エゴイズム)は.五集合要素(五蘊)による煩悩(存在欲)が自己保存と自己防衛の本質的な欲望に従って.感覚的.感情的.主観的に妄想.錯覚したものに過ぎず、自己中心的.自分勝手に振る舞おうと欲する事による[諸悪と空の根源]であり、自分(パーソナリティ)とは理性(知性)による.空なる本質.現象的存在としての存在的価値の追求だと言え、多様性によって形成される世界において、[自我意識]が強く.反面では[自分]という存在の次元の劣る人達が増え主流をなすと社会は自ずと閉塞し停滞し衰え、[自我意識]を抑制し[自分]を具象化する人達が増え主流をなす多様的な社会は発展.進歩を促す事は、歴史が明確に証明する。


迷いを去り道理を悟る覚悟こそ仏道である