スペンドとゲット

今という瞬間々々に歓び.満足感. 多幸感.安定感を見い出せない人は、煩悩(存在欲)の衝動により不満.苦しみ.渇き.退屈感.不安定感に苛まれ、大切な時間と財を無駄に浪費(ウェスト.スペンド.)し、大切なものを獲得(ゲット)し損なう。



愚かな人は.喜んだり.満足したり.幸せに浸ったり安定感を得てしまう事は.チャレンジ精神や新たな努力の道を自ら閉ざすことだと勘違いしてか、苦行を礼讃したがるが、全ての苦しみを基本とする苦行とは[怒り]に依って立つ.怒りと苦のエネルギー反応に依拠する事に他ならない…



苦や怒り.不満に根差した心には、本当には優しさや慈悲や利他など生じるわけがないのだから…



何かしらをして居ないと落ち着かず、退屈で苦痛だと、単なる時間つぶしでもって.自分にとって.どうでもいいもの事…下らないもの事…無駄なもの事…つまらないもの事に関わりあって大切な時間や金を浪費させられている多くの人々にこそ、自意識を捨てて.外世界の雑音から逃れて.静かに集中して、自分を冷静に見つめ.自分に問うてほしい…限りある大切な人生(人間としての生命)…このままでいいのか…無常な現象に過ぎない感覚や感情を.ただ刺激し続けるだけの欲求不満の解消の日々とは、果たして大切な時間と金の浪費(ウェスト.スペンド)なのか獲得(ゲット)なのか…



物.金.財への欲求に魅入られ、承認欲求に縛られ、地位や名称に拘り.捉われ.愛着.執着させられる自分が本当の自分なのか…無明(本質的無知)の闇の中を手探りで盲目的に.懸命に生きようとする意志により生じさせている表象としての歪んだ世界を真実.現実と錯覚して.偏った観念や想念や渇望により世界に翻弄されているのではなかろうか…

疑心暗鬼でいる事は自分の進歩を阻むものだけど、根拠も確証もなく疑う事なく鵜呑みにして妄信する事ことは.大切な自分の人生(人間としての生命)を台無しにするもの…先ずは人であり、餓鬼.畜生となるべからず…人から人間となり、人格を具えよ…人間としての人格を具したれば、その人格を磨き.育て.高め.よい生命の流れ(業.カルマ・形成力)により、よい人生とよい来世を獲得(ゲット)できる…



●退屈の虫(レファレンスとして)

人は皆、退屈の虫を飼っている…

しかも愚かで無明な人は、絶えず退屈の虫に悩まされ、振り回されている…

退屈の虫も又.煩悩(存在欲)であり、退屈の虫の要求に応えようと.外界に意識を向かわせて無明に何かしらを探し求める...しかしそんな退屈の虫の要求に幾ら応えた処で、束の間の喜びを得るだけで.又候.飽き(苦)を生じ.退屈の虫は.更なる要求をしてくるだけ…

これが人が何かをしなくては居られない衝動により、じっとして居られず.ゴチャゴチャと雑念したり.落ち着きなくガタガタと何処かしらを動かしたり.意味もなく不満を呟いてしまう原因である。
さらに煩悩に支配されている人は、日常においても絶えず五感官(眼耳鼻舌身意)に刺激を与え続ける事により辛うじて安定を得ているのであり、何かしら退屈の虫を治める術を失うと遠からず、理性を失ったり、狂気を来たしたり、命を失なうことさえ有るのだから...

では退屈の虫をどう退治していったら良いのかと言えば…それは[智慧と叡智]に尽きるのである。

飽きと退屈はワンセットであり、飽きも退屈もドゥッカ(苦)のひとつであり、生きるとは.気を紛らわすことであるとも言え、何かしら一つの事に飽きて目的意識が定まらない時に退屈の虫は蠢きだす…

それは言い換えれば[不満]であり…不満とは満たされて居ない事である…
不満でいっぱいの心を.仕事や遊びや趣味や娯楽などで.一時的に.なだめ.癒し.誤魔化し.隠し.忘れていても我れに返ると、心の中は不満でいっぱいであり、不満のエネルギーで.またぞろ退屈の虫が騒ぎだす.

その上、景気も良くない昨今は.尚更に不満ばかりで.満ち足りる事を知らない人々が増えているように思える…

人は不満ばかりで不満を蓄積してながら生きていると.豊かで自在な心を失ってゆき、自ずと心は貧しくなってゆく…

それは欲望の炎で.熱っせられた鉄板の上を.飛び上がっては一時的な安楽を得てホッとした束の間.次の瞬間には熱っせられた鉄板の上を熱い熱いと転げ回りながら生きているようなもので、何しろ自分だけは熱い鉄板の上から、他者を押し退けてでも.他者を踏み台にしてでも.他者を犠牲にしてでも一刻も早く逃れ.助かる事しか考えられなくなっていくもの…これこそが貧しい心の本質であり、苦悩や不満の原因なのだから…

そんな貧しい心で煩悩の欲望に翻弄されれば.満たされぬ不満は更につのり、心は阿修羅.餓鬼.地獄へと堕ちてゆく…

即ち...
満ち足り[満足]するのに.必要なものは全て.既に具している事に、煩悩に魅入られ.翻弄され.波立つ心は.真実を映し出すことが出来ず.気付けないだけなのだから...

所有の次元の事物(金.財.…)の所有量により.得られるものは便宜的で付随的で一時的な満足でしかなく、真の満足など決して得られないことが解らず、苦と不安と迷いと不満の中を流れてゆく事となる…


その根源は煩悩(存在欲)の要求であり、煩悩は何かしら生存にプラスと感じるものを貪ろうと欲するが、その行っていたものが生存にとって決してプラスではないと気付くと飽き、何かしら生存にとってプラスなものを探して来い!と退屈の虫を走り廻らすのです。

❖煩悩(存在欲)はプラスだと感じる物事は引き寄せたいと貪り欲し、マイナスだと感じる物事は遠ざけたいと怒り、プラスでもマイナスでもない物事に愚痴るのです(不善処・貪瞋痴)

煩悩(存在欲)は一寸先は闇である現実を認めませんから、永遠に生きている.生きていたいという前提で物事を分別していますから、下らない物事であれ、つまらない物事であれ、どうでもいい物事であれ、取るに足らない物事であれ、今という一瞬一瞬を疎かにしながら.何かしら一時的にでも気を紛らわし存在にプラスと感じるものを貪り欲すのです。

叡智により、そんな煩悩(存在欲)の要求に振り廻されず、今日一日ぐらいは多分生きているだろうから、今という大切な一瞬一瞬の時間を無駄に浪費せず、有効に意味ある生き方をしようと思い定め、一日の99%の、下らない物事.どうでもい物事.つまらない物事の情報や知識に振り回されず、考えるべき時に考え、するべき時にする、話すべき時に話し、雑念や妄想に気付く事が退屈の虫を退治する有効な方法でもあるのです…

欲望は底なし沼のようなもの

日々の忙事に泥むれば 顕貴(ときめき)の歓びを忘れる

群れ戯れる者達と組み縛られることなく、同して和せず