心の富貴

目覚め, 乗り越え, 解き放て!
❖堅固な幸せの達成こそが.真の勝利者である。
繁栄した日本に生まれて.物質文明の洗礼を受け、所有欲に翻弄されて便宜的で付随的な価値しかない[所有の次元の事物]への欲望に魅入られ執着.愛着しながら.苦しみや不満(ドゥッカ)を造り出しているのが現代人であると言え、そんな現代であるからこそ頂乗で真正な仏教が必要とされるのです。

情報社会の真っ只中を生きる今の人々は、世の中に溢れ返る知識.情報(新聞.TV.書籍.雑誌.インターネットなど)の90パーセントが作為的.洗脳的.誘導的.煽欲望的なバイアスが掛かったものである事に気付かずに、世の中に張り巡らされた罠とも言える情報.知識に振り回され.洗脳(染脳)され.誑かされて.真実を見失いながらも.真実を追求しようともしない…
多くの無思考な人達は[では何を信じたら良いのか]と言うものであるが…元来.[信じる]とは物事が明確には見えてない人のものであり、人は物事が明確に見えない限り.真には先には進むことなど出来ないものだから、蔑ろにするか.諦めるか.無思考に従うしかないのであるが、人は自分を基準とした尺度でしか物事を見ることが出来ず、それでいて先に進まなければならないから、偏った見方をしたり、間違った見方をしたり、浅薄な見方をしたり.迎合的な見方をしたり.追随的な見方をしながらも、[自分の判断は正しく.間違っても偏っても居ない]と主観には自己肯定しかなく、決して自分を吟味することも自分を否定するも出来ないのですから。
無常な現象でしかない感覚.感情.主観を尺度として物事を測れば、視野の狭い妄想的な自我意識に翻弄されることとなり、妄想的な自分勝手な自分の都合や感覚的.感情的な嗜好に基づきながら貧しい心を造り出してゆく事となり、それが苦や不満(ドゥッカ)を造りだしてゆくのです。

一切万象 自業自得
一切万法 果律応報
衆生 心を浄めたもう
貧しき心を 浄めたもう
賎しき心を 浄めたもう
衆生 徳を 積みたもう
衆生 無明を晴らしたもう
衆生 妄迷 目覚めたもう
衆生 渇望 超えたもう
衆生 軛(くびき)解きたもう
衆生 執着 捨離したもう
一切万象 自業自得
一切万法 因果応報
如来憐れみ 辻に立つ

①煩悩(存在欲)生存の素さ。因
存在していたい(生きていたい)
価値ある存在でありたい
意味ある存在でありたい
生きる目的が欲しい…
②煩悩の衝動により、内界及び外界に意識を彷徨わせ探し求める
③煩悩(存在欲)の衝動は盲目的な無明(無知)の闇を晴らしたい.渇きにも似た無明を真理(真実.事実.現実.実相)で潤したいという欲望(渇望)である
④善処・不善処
煩悩(存在欲)は.永遠の存在の為にプラスだと感じる物事に対して.引き寄せたいと欲する(貪欲)
永遠の存在の為にマイナスだと感じる物事に対して.遠ざけたいと欲する(瞋恚.怒り)
永遠の存在の為にプラスかマイナスか迷うとき戸惑う(痴愚)
⑤理性(客観性)が煩悩(存在欲)による主観.自我.感覚.感情.欲望などに勝るとき慈悲に基づく対応を選択する(善処)
⑥身体的.感覚的.感情的.主観的な喜び.快感.安心.満足は無常な性質のものに過ぎず…執着.愛着するほどの価値はない。
⑦不善処に向かうほど心は貧しくなり、善処へ向かうほど心は富貴となる
⑧生きるとは.即ち欲望の具現である(生きる意欲)
⑨しかし煩悩(存在欲)に主導.差配された自我的欲望は不善であり、苦しみ.不満(ドゥッカ)は自我的欲望によって生じる
⑩知性.理性に主導.差配された欲望は善であり、喜び.快感.満足(スカ)は理性(知性.客観性)によって生じる
⚫つまりは、心の貧しさにより.自分や所有の次元の事物に執着.愛着し魅入られて苦しみや不満を生じさせている事に気付かずに造り出し続けているのであり、故に無明の闇の中を盲目的に手探りで探し求めながら彷徨い生きていると例えられるのである。
数ある所有の次元の事物の何れかを所有していたり.新しいうちは.まだしも便宜的.短命.一時的であれ喜び.安心数.快感.幸せを得られるが常ならず無常な本質の現象に過ぎず、結果的に苦しみと不満を携えて生きることになる…
煩悩(所有欲)の欲求とは.決して満たされる事のない.要求に幾ら応えた処で更なる要求をしてくるだけの底なし沼のようなものであり、煩悩の要求に翻弄され執着.愛着し魅入られ.心を貧しくさせてゆく…
苦楽は、外界からもたらされたものの多寡には関係なく、自身の心の満足度.如何である。
心が貧しい者は欲深く満たされる事なし。
心が豊かな者は例え得られるものが少なかろうと.足るを知る。

❖心が貧しい人の欲望
有ればあったで.まだまだ不満..
無ければ無いで.尚更.苦悩し.怒る…
❖心が富貴な人の欲望
無ければ無いで.満たされて.
有ればあったで.嬉しくて…
⚫自分のものだと握り締め、他人と分け合ったり、分け与えたり出来ない.物惜しみ.吝嗇な人は心に何かしら不満や苦しみや怒りを抱えて無明の闇の中を盲目的に彷徨っている人であり[良い悪い]という話ではなく、目覚め覚醒し.乗り越え超越し.解き放たれ解放されさえすれば、堅固な喜び.快感.幸せ.安心.安全.静逸な世界があることに気付けない憐れな人なのである…

🔵ドゥッカ
不安定さ・不完全さ・苦しみ・悩み・憂い・難儀さ・迷い・心痛・嫉妬・憎しみ・恐怖・哀しさ・悔い・飽き・退屈・儚さ・脆さ・弱さ・空虚さ・惨めさ・実質のなさ・不満・怒り・不本意・無常さ・無明・欲・渇きなど
🔵所有の次元の事物 
金銭.財産.物欲.地位.名誉.称号.身分.異性.伴侶.家族.仲間.権威.権利.承認.理解.権力.勢力.威力.健康.長寿.若さ.知識.情報など
🔵存在の次元
人間性.精神性.人格.人の質.人柄.器量.寛容さ.実直さ.知性.存在感.本質的性質など
🔵真実を歪めるもの(色フィルター)
思い込み.勘違い.欲目.偏見.邪見.固定観念.既成概念.錯覚.誤解.無知.仮説.風説.権威.歴史.伝統.迷信.主観.感覚.感情.格調.染脳(洗脳)など
⚫「我を捨てよ」
己れすら我がものではないのに、子や財を勝手に自分の所有物と思うことが間違いである。
我を捨てれば、苦悩というものが生ずる場所がなくなる。
⚫愚の骨頂とは、本当に向き合うものが見えていないこと
⚫苦しみ…それは一切を如実に観ずることのできない人間の無智からきている
⚫外なる快楽を追い求めるところから苦しみは生じる
⚫金が天からいくら降ってこようと欲望は満たされない。
智者は知っている。欲の追究の果てに得られる快楽は少なく、苦悩は多大であることを…
身心の一切をコントロールできることが最高の善である。自制は善である。
⚫たとえ得るものが少なくとも不満を抱かず、清らかで勤勉な生活を送る者こそ讃うべき心の富貴な者である
無一物の境地に至れば、苦悩はもう生じようがない。
⚫<好き嫌い>
好きという感情を抱いた時、同時に嫌いという感情も芽生える…
好きと嫌いは「分別」の二つの側面である。
この「分別」から好きなものを失なう怖れに苦しむと同時に、嫌いな物事に出会う怖れに.更に苦しむのである。
愛別離苦
愛するものとも必ず離別する時がやってくる…愛するものを失う恐怖と苦しみ
怨憎会苦
嫌いな物事、怨みや憎しみ.忌むものに見舞われたり出会ってしまう恐怖に苦しむこと。
五蘊盛苦
五感管(眼耳鼻舌身意)により生じる現象的な感覚.記憶の残滓.感情.主観.概念とそれ基づく妄想により苦や不満(ドゥッカ)を造り出す。
⚫「知足」とは[今あるもので我慢する]という意味ではなく[全ては既に与えられている]
だから「満ち足りているのだ」という一種の 信仰なのである。
⚫<忍辱(にんにく)は難行>
忍辱より難しい行はない。
忍辱とは、いかなる侮辱や迫害にも耐え、動じないこと。
日常、頭にくることに出会ったら、いい修業だと思って怒りをしずめる練習をしなさい。
怒りより大きな罪はない。
憎悪よりひどい悪はない。
寂静にまさる安らぎはない。
[四無量心]によって、[私]が次第にいなくなる。
心の主とは、「私」のいなくなった「いのち」である。
<二つの道>
俗世の利益を求めるのも一つの道、また永遠の寂静に向かうのも一つの道。
人の選ぶ道は.このどちらかしかない。
前者は欲望の充足を目指し[所有の次元の事物]へと向かう道.後者は心の充足を目指し[存在の次元]へと向かう道…
前者をめざす人多し、後者をめざす人少なし。
⚫[仏教的な[悟り]は、簡単に云えばあらゆる感覚も思考も、縁起のなかの無常なる出来事(現象)に過ぎないと達観することにある。]
⚫因縁起果報.一因に縁らず一法に立せず、然し明々歴々、一因一法を晦まさず
⚫戦場において百万の敵に打ち勝つよりも、己一人に打ち勝つ者こそ実に最上の勝利者である。
何故ならば.彼れは煩悩の軍団(悪魔の軍団)に打ち勝ち.堅固なる歓びと平安と静逸と幸せを得ているのだから。
⚫煩悩の欲求に幾ら応えた処で、更なる要求をしてくるだけで、決して満たされる事などない。
逆に、煩悩の要求を抑制しコントロールしてやれば、煩悩の風に波立つ湖面が.しだいに鎮まってゆくように. 心は鏡面の如く澄み渡り、その湖面に真実(真理.事実.現実.実相)を映し出す。