幸せに生きる為に必要なもの

物質的には何でも揃う今の世の中が.却って無明な人々の欲望を刺激.翻弄してしまうのか、幸福度.満足度の調査では日本は随分と下位集団にランクインされているらしい…
マァ、幸福度調査に因らずとも.世の中を見渡して見ても肯けることではあるが…
つまりは幸福度.満足度調査とは心の貧困度調査に他ならず、過っては物質的な豊かさより心の豊かさに依って立っていた我が瑞穂の国が、何故こうも心の貧しい人々が増殖する破目となってしまったのかは、社会が物質の豊かさばかりを追求してきた余り、精神性の豊かさへの追求を疎かにしてきたからである。

先ず人間は誰でも何時でも幸せや喜びを探し求めながら生きている…
これから自殺しようとする人達でさえ.その中に喜び.幸せ.安心を見い出しているからに他ならず、行き場を失った無明(無知)で純粋な了見の狭い心にはユートピアとさえ映るらしい…
では現代人は幸せや喜びを必死に探し求めながら得られたのだろうか…
否、世の中には苦しみと不満が渦巻き.せめてもの救いとして.手身近な所有の次元の事物や者に執着.愛着しながら、辛うじて短命で一時的で無常で空しい喜びや満足に依存し魅入られている…

世の中には[単に感覚.感情.主観を慰める為のもの]と[生きる為に必要なもの]と[幸せに生きる為に必要なもの]の三種の必要なものと不要なものがあり、先ず、それらを明確に認識してゆく事が大切である

判り易くする為に.必要なものを道具(アイテム)と表現するならば、生きる為に必要な道具(アイテム)として便宜的.付随的な手段としての[所有の次元の事物(後記)]があり、幸福に生きる為の道具(アイテム)として[存在の次元の事物(後記)]があり、それ以外は[単に感覚.感情.主観を慰めるもの]乃至[不要]なものである…
〘大別〙
❖単に感覚.感情.主観を慰める為のもの
人生の大半はこれらの為に費やされ、忘却されたり記憶の残滓として残される
❖生きる為に必要なもの道具(アイテム)
所有の次元の事物
❖幸せになる為に必要な道具(アイテム)
存在の次元の事物
これらの違いの認識が出来ないと手身近な感覚的.感情的.主観的な刺激をもたらす物事や生きる為に必要な所有の次元の事物などに魅入られ.翻弄され.執着.愛着しながら、心を貧しくさせ、自我意識(自己中心的なエゴ意識)を膨らませてゆき、幸せや満足を追い求めながら、結果として苦や不満を積み上げてゆく…
❖つまりは幸せや満足を探し求める方向性が違うのであり、現象的な感覚.感情.主観への刺激への執着.愛着や.所有の次元の事物への執着.愛着という方向には.本当の幸せ.満足.平安.安全.歓喜.悦楽.静逸などない事に気付かなければ、真に堅固で安定的な幸せや満足は得られない。

所有の次元の事物とは、何かしらの為に有る道具(アイテム)であって、道具(アイテム)自体には何の意味もない性質のものなのです
例えばお金は社会で生きるための道具(アイテム)であって、砂漠に一人で彷徨っていれば空腹も.喉の渇きも癒やすこともできませんし、大富豪でも社長や博士や権力者でも、苦しみや悩みや問題をいっぱい抱えて生きているのですから、決して幸せになる為に必要なものだとは言えない、単に生きるために必要なものの類でしかないのです。
若い人は幸せになろうと結婚に憧れますが、果たしてどれほどの人が幸せになれたでしょうか?結婚=幸せと考えるのは単なる妄想に過ぎませんね、子孫を残すという所有の次元の事物の一つであり、生きる為に必要なことであり、決して幸せになる為に必要なこととは言えませんね
生きる為の雑事が増えただけで、雑事の中に幸せを感じたとしても何時.変化生滅し.移り変わりドゥッカ(苦しみ.悩み.痛み…)となる性質を持っていますね

所有の次元の事物により、その時の感覚や感情や主観(想い)を一時的に満たした無常な想い出(記憶)で虚しさ(心の隙間)を慰めるだけ、ましてその想い出(記憶)に縋り付いていては、今を生きているとは言えず、[今]は死んでいるも同然となっている

❖何を学び、何が自分の糧となり、幸せに生きる為にどう役立っているか

所有の次元の事物とは生きる為に必要な道具(アイテム)であり短命で一時的で無常で空しい喜び.多幸感.安心.満足は得られるが変化し消え去る本質のものであり、決して堅固で安定的な幸せや満足を得る為の道具(アイテム)ではなく、便宜的.付随的な手段.道具(アイテム)に過ぎず、目的物ではない…
食べるでも[何を食べる]は問題ではなく、
感覚.感情.主観にどんな刺激を与えるかも重要ではなく、生きる為に何が必要か、もっと掘り下げれば、幸福に生きる為に健康は重要な要素であり、その健康を培い保つためには何を食べるべきかが最重要なのです。
どんなに知識や情報があろうとそれを幸せのために役立てないとしたならば、大切な時間とお金を無駄に浪費してきただけに過ぎず、真に必要な事が明確であるならば、悩みや苦しみを生じさせる盲目的な無明(無知)の闇は晴れるのです。
❖人間、当たり前だと思っている事が案外.当たり前ではなく、当たり前だと錯覚させてしまうほど恵まれた環境.現実.時代に生きている喜び.満足.幸せに気付き.見い出し.感謝できるか.できないかの違いだけであり、その感謝の心が、次の感謝の心を生じさせてゆき、豊かな心を培ってゆく、自業自得.自因果応報の真理なのです、だから頂乗なる仏教は.他力ではない[智慧の宗教]と呼ばれる所以なのです…

❖真の幸せ.満足とは…
①即今実存
幸せ.満足とは.過去にも未来にもなく.今という瞬間.瞬間の中に在るもの
②所有量ではない
幸せ.満足とは.もたらされた物事の多寡(所有量)には関係なく、心の満足度いかんである
③他人の評価によらない
幸せ.満足とは他人と比較するものでも他人の評価にもよらない…
欲に塗れて他人の評価や名利に捉われていては幸せ.満足は得られない
④心の余裕
自分に執着.愛着していれば他人の幸運は苦痛であり、他人の不運は蜜の味がする…
心が本当に幸せ.満足を得ていくと他人の幸不幸を我が事のように同調できる
⑤思惑や都合に寄らず
自分の思惑や都合に執着していると思い通りに運ばない現実にイライラしたりする…
晴れの日があれば雨の日もあり、良い日があれば悪い日もあって当然であり、どちらも受け入れる度量.寛容さを育成するのは自分の多幸感.満足感.充実感である
⑥孤独と孤立
協調性を高めるか.孤独を楽しむか
孤独を楽しむことも出来ず.尚且.自我意識が強く協調性を保てないような人は、苦しみや不満(ドゥッカ)の中を生きてゆく事となる…
心が満ち足りて幸せな人には孤独は苦痛ではなく安楽なのである…
社会やコミュニティへ執着.愛着.依存しながら孤立してゆく人に必要なものこそ、自我意識や貧しい心から解き放たれ解放されてゆくことであり、死んでから解放される訳ではなく、生命は心のレベルに遵って輪廻してゆくのですから…
⑦精神性(人格)
人はその精神性(人格)により幸せ.満足の質と対象が変わってゆく、低次元では感覚.感情.主観への刺激の中に幸せ.満足を見い出すが、無常で空しく現象的な短命なものでしかなく、多くの苦と少しの楽の間を翻弄されながら生き、中次元では生きる為に必要な[所有の次元の事物]の所有量=幸せ.満足だと錯覚するが[所有の次元の事物]の変化生滅してゆく性質に翻弄されてゆくこととなる
真の心の幸せ.満足とは自我意識と執着.愛着から解き放たれた心の富貴と智慧(叡智)の中に顕現する。
【定義】
🔵所有の次元の事物 
金銭.財産.物欲.地位.名誉.称号.身分.異性.伴侶.家族.仲間.権威.権利.承認.理解.権力.勢力.威力.健康.長寿.若さ.知識.情報など
🔵存在の次元
人間性.精神性.人格.人の質.人柄.器量.寛容さ.実直さ.知性.存在感.本質的性質など
🔵真実を歪めるもの(色フィルター)
思い込み.勘違い.欲目.偏見.邪見.固定観念.既成概念.錯覚.誤解.無知.仮説.風説.権威.歴史.伝統.迷信.主観.感覚.感情.格調.染脳(洗脳)など