お互い様とお陰様

世の中、政治家が選挙時には無責任に魅惑的な公約を掲げ、当選すれば忘れてしまう公約という[絵に書いた餅]のように、やがて金を儲けて金持ちになる事を夢見ながら[アスナロ]で現実には何ら実行しようとしない自覚のない人のように、自らは出来もしない欲望の滅尽やら利他やら慈悲やらと.プラパンチャ(戯れ言.能書き.空論…)を他人様に解きながら、自らは我欲と自利と経済行為に余念ない僧侶のように、如幻如露の中を生き、得るものなくして、激しき流れ(輪廻)を繰り返すは、憐れなり…
■名色
あまねき.名(ナーマ)と色(ルーパ)にも、我心なく、無所有を憂うることもなし…げに彼れこそは沙門とぞ呼ばれる…
名色(ナーマルーパ)を[心身.生命]と観る.

仏教においては人の構成過程を示すために用いられており、ナーマは人の心理的要素を、ルーパは身体的要素を指す。仏教においては、ナーマとルーパは互いに依存関係にあり、生きている限り.切り離すことができないものであり、この相対的な要素による現象として、自我意識を形成させている…それが理解出来ない偏った自分勝手.自分の都合という無明な自分(自我意識)が、ドゥッカ(苦.不安定性.不完全性.悩み.心痛.恐怖.憂い.哀しさ.儚さ.空しさ.弱さ.脆さ.迷い.悔い.不満.怒り.飽き.愚かさ.惨めさ.実質のなさ.無常さ.欲望…)を造り出しているのです…
■我が身は現象なり…
因果律(縁起)に従って.汎ゆる相関性(相対性.相補性)の上に存在している身であって、他から独立して単独には存在し得ない身なのである…
露と落ち.露と消えにし我が身であり、全ては無常なる風の前の塵の如き我が身なり…
お互い様とお陰様の狭間に[名色]を繋ぐ、[引き寄せて結べは草の庵にて、解くれば元の野原なりけり]
なれど一縁に因らず.一法に立せず.しかも、明々歴々として一縁一法を晦まさず…
愚かな者は、無明ゆえに思議出来ず、不思議の世界を造り出す…
❖ナーマルーパは個人を指すものであり、五集合要素(五蘊)の一つとして挙げられ、「心理物質的な生物」「心と体」「精神的なものと物質的なもの」とされる。
[比丘たちよ、名色とは何か?…
感情(ヴェダナー)、認識(サムジャナ)、意思、接触、作為.これらを名(ナーマ)と呼ぶ…
四大要素と、四大要素に依存するもの、これらを色(ルーパ)と呼ぶ…
この名(ナーマ)と色(ルーパ)を名色(ナーマルーパ)と呼び、意識(ヴィンニャーナ)を形成させている]
■変な呪文を唱えるよりも[お互い様とお陰様]と唱えて生きるが、幸福(しあわせ)への道…
人生の意義は現象的な感覚.感情.主観に命じられて時間を浪費する事でも.何かしらを与えられる事でもなく、何を与えるかなのです。これが理解できれば豊かな心で人生を築くことが出来る。
❖愚かな人は日々の世俗的満足や感覚器官に与える刺激を幸福だ.快楽だ.と錯覚したり思い込んだりしている…
それは本当の美味なるご馳走に気付かず、雑草を美味しい..美味しいと食べるようなもの…そんな無常な現象に過ぎない満足とは、真理を実践する智者のそれとは比ぶべきもない…
命は素晴らしい…
生きていること自体、最高の快楽だ…
智者は.この当たり前のことを死に直面せずとも識っている…
ところが凡夫ときたら、幻想に過ぎない名利や所有の次元の事物の為に、大事な命を削り、命の意味を捻じ曲げている…
■昨日や明日の世界に.身を沈めることなく[今日]の世界に生きること
❖無明(本質的無知)の闇の中を手探りで辛うじて生きている、他から独立して単独には存在出来ない.因果律(縁起)に遵った.他との関係性の上に生かされている存在であり、豆腐の角に頭をぶつけて死ぬ事すら全く無いとは言えない.儚く.虚しい明日をも知れない存在であることを自覚する…死や災いなど自分にはやって来ないだろうという愚かな錯覚の中で、偶々.今日も運良く生かされているだけの.現象的存在に過ぎないのだから…

■色々在ってそれでいい
生命も微生物から人間までの各階層(六界)という[多様性]に担保されているのです…
もし微生物でも.植物でも.動物でも.何れかが居なければ、我々人間も.他の生命も一日たりとも生きられず、他の生命、他の要素のお陰様で生きている存在なのですから…
■則天去私
そんな.ちっぽけな[私]という自我意識に捉われず、身を天地自然(在るがまま)に委ねて.天地自然の法則や普遍性.妥当性に従うこと
風吹けば、吹く風に抗わず.感謝して身を任す…風、寒暖を和し.澱みを浄め.生命を運び.天地を動かす
雨降れば、降る雨に抗わず.感謝して雨に身を委ねる…雨、大地を潤し.生命を活かし.汚れを流し.実りをもたらす
日が照れば、照る日に抗わず.感謝して身を委ねる…
人来れば、来る人に抗わず.感謝して身を委ねる…厭わず
ちっぽけな私という自我意識から去り、この身を天地自然の万象に委ねて…
お陰様で生かされている存在なれば…