幸福(しあわせ)の三要素

世の中、何処を眺めて見ても.この幸福(しあわせ)という言葉で満ち溢れて居るが、凡そ真に幸福(しあわせ)な人に出逢った事がない…
貧しい人は自分が幸せでないのは、お金がないからだと誤解しているし、お金持ちは.お金持ちで.金の事を始めとして汎ゆる物事に縛られ却って多くの苦悩と不幸を背負っているもの…金が天からいくら降ってこようと欲望は満たされない事を、智者は知っている…
欲の追究の果てに得られる快楽は少なく、苦悩は多大であることを…
仏教に、[知足(足るを知る)]と言う言葉がある.これは[今あるもので我慢する]という意味ではなく[幸せの為に必要な一切は.全ては既に与えられている]…だから「既に満ち足りているのだ」という気付きなのです…
欲望とは底なし沼のようなもので、煩悩の欲求に幾ら応えた処で、更なる要求をしてくるだけで、決して満たされる事などないのです。
逆に、煩悩の要求を抑制しコントロールしてゆけば、やがて風に波立つ湖面が.風が止めば次第に鎮まってゆくように. 欲望の風に波立っていた心は鏡面の如く澄み渡り、そんな湖面に真実(真理.事実.現実.実相)は映し出されるのです。
身心の一切をコントロールできることが最高の善である。自制は善である。


幸福(しあわせ)の三要素さえ、自覚できるようになれば、皆んな幸福(しあわせ)になる事が出来るのです…
しかし社会には人の幸福(しあわせ)を謳いながらも、その実は自分の幸福(しあわせ)の実現の為に邁進している人達や、得体の知れない神仏の力や眉唾な超能力を持ち出して幸福(しあわせ)を商品化しようとする人達が跋扈しています…
そんな罠に捕らわれてしまっては、わずかで短命な不安定な虚しい幸せと引き換えに、大きな代償を払うことにもなりかねません…
それと言うのも言い換えれば、凡そ.この平和で恵まれた社会とは.貧富に関わらず.多くの不幸や苦悩を造り出す構造的欠陥を内包していて.無明な人を更に盲目的へと誘い、欲望の炎を煽り、自利の為には人々を焼き尽くしてしまう.目的の為には手段を選ばないような傲慢で満ち溢れている証でもあるのです…


さて前置きが長くなってしまいましたが、本題の[幸福(しあわせ)の三要素]とは階層的に構築されているものなのです…
ですからアフリカの最貧国の大統領が実に豊かな心の持ち主で在ったり、やはり貧しい小国のブータンの国王が幸せの国だと自認したり出来るのです…
実は.幸福(しあわせ)とか不幸とは.貧富や性格や地域や環境や時代による訳ではなく、無明(本質的無知)の闇の中を盲目的に生きるのか…無明の闇を晴らして真理(真実.事実.現実.実相)を依り処(精神的支柱)として生きるのか次第だと言えるのです…
ですから自己啓発セミナーなどに引っ掛かりプラパンチャ(戯れ言.能書き.観念.空論.仮説.理想論)を積み上げて却って苦悩を増やしてしまったり、新興宗教に嵌って無明の闇を更に深めて.今.既にある幸福(しあわせ)さえ失って、現実逃避してしまう人が案外と多いのです…
人生には苦があるのです…当たり前
苦があるから生きていけるのです…
もし苦がなかったら…
空腹という苦がなかったら、食事などしませんから、餓死してしまいます…
尿意.便意という苦がなかったら、トイレに駆け込みませんから膀胱炎、大腸炎で憤死してしまいます…
苦はあります…否、全ては苦によって成り立っているのです…
しかし同時に楽もあるのです…苦楽は一如なものなのですから…
真理(真実.事実.現実.実相)を依り処(精神的支柱)とする頂乗仏教を実践する人は、涅槃(ニルヴァーナ)に到達し、堅固な平安.悦楽.歓喜.静逸.幸福な世界を実現します。

■幸福(幸せ)の三要素
三階に、所有的幸福(しあわせ)が乗ります
二階に、関係的幸福(しあわせ)が乗ります
一階に、存在的幸福(しあわせ)が在ります
◆一階.二階が無ければ三階は成立しません
ですから存在的幸せ(1F).関係的幸せ(2F)が無いか希薄な人は3Fの所有的幸福(しあわせ)を手に入れても一時的で短命な幸福(しあわせ)しか味わう事が出来ずに、遠からず不満.不幸.苦悩などの次元へと戻ってしまうのです(意欲と貪欲.強欲とは別物なのです)
例えば、三階の金や財がどれ程あろうが、一階の存在としての健康や自由がなければ、その価値は苦(ドゥッカ)の中に埋没してしまうだろうし、一人きりで砂漠を彷徨う存在ならば.一杯の水にも劣る.価値のない紙切れにすぎないのですから…

◆一階(存在性)が.しっかりと調っていれば自分一人が住む(生きる)には充分な広さです…
※存在の次元の事物により、成立つ
◆二階(絆.関係性)があれば余裕で暮らす(生きる)ことが出来ます…却って掃除が大変にはなりますが…
※絆、関係性により成り立つ
◆三階があれば楽に暮らす(生きる)ことが出来ますが、1F.2Fの負担とならないように調和が必要です…3Fの過重が下の階の負担とならないように、下の階の[人格]と、上の階の[所有]のバランスを欠くと.禄な生活(人生)を送りません…
※所有の次元の事物により成り立つ
■三階の所有的な幸福(しあわせ)とは.
依存症とはズバリこの所有欲への執着に束縛されるからであり、1F.2Fの軟弱.不満さから3Fに魅入られるのだが、却って1F.2Fの幸福(しあわせ)を害なってゆく事となる
本質的には飽くまで、便宜的.手段.付随的なものに過ぎない…  [ドーパミン的分泌作用]
最高の幸福な日々は、富でも名誉でもなく、自分のしたいことを見つけ.努め.励み.学びながら生きる事なのではないでしょうか…
♡所有の次元の事物

金.財.所有物.社会的地位.名誉.称号.権威.権力.勢力.世評.承認.健康.寿命.知識.情報.記憶.達成感.満足感…
■二階の関係的な幸福(しあわせ)とは.
繋がり.絆.人間関係.触れあいによる幸福(しあわせ)…各自の距離感が大切であり、程良い距離が幸福(しあわせ)を生じさせる…
絆.関係性が柵(しがらみ)という束縛にならないよう注意して下さい。
良い絆や関係性は、運気も上げますが、柵(しがらみ)となると運気を下げてしまいます。
猫や犬に癒やされたり、他人に貢献、親切を施して感謝され喜びを感じるのも、関係的幸福(しあわせ)…  [オキシトシン的分泌作用]
反意語は、孤独であるが、その生き方に一本芯が通れば孤高という存在性になる
■一階の存在的な幸福(しあわせ)とは.
松尾芭蕉の[旅に病み、夢は荒野を駆け巡る]の句のように病んでから、元気に歩き、野山を駆け巡れる健康や元気さ幸福(しあわせ)に気付いても遅いのであり、今、既に持っている何万、否、無尽蔵な幸福(しあわせ)に唯、気付けるか.気付けないか、味わうが味わえないか、だけなのです… 
生命は素晴らしく、生きている有難さに勝る快楽はなし●今ある幸せに気付く
 [セロトニン的分泌作用]
無明の闇を晴らしたら、脳内麻薬は自由自在
♥幸福と書いて[しあわせ]と読む…
福が来たから喜ぶのではなく、喜ぶから福が来るのです…
不幸が連鎖するも.悩むから連鎖するのです。
福とは、幸せを味わう人に、自ずと随ってくるものなのですから…
⚫所有の次元の事物とは…
金銭.財産.物欲.地位.名誉.称号.身分.異性.伴侶.家族.仲間.権威.権利.承認.理解.権力.勢力.威力.健康.長寿.若さ.知識.情報など

⚫存在の次元の事物とは…
精神性.人間性.人格.品格.人の質.人柄.器量.寛容さ.実直さ.知性.存在感.本質的性質など