勝利への道

勝利への道
真の勝利への道を如来は説く…
如来とは、如実の道に乗じて、正覚を来成するが故に、如来という。
(如来者乗如実道来成正覚故曰如来)
真の勝利とは此れ即ち.無明(無知)が生じさせるドゥッカ(苦)からの解放であり、激流の如きドゥッカ(苦)を継続させる輪廻転生からの解脱をも指し示す。
[幾百人の敵に勝つよりも、己自身に勝つ者こそ、真の勝利者である]
私の話は全て.我れを離れて、深淵なる真理の象徴としての如来が高次元に於いて.私(多々方路傍石)に向かって語っているのであり、私はその愚かで未熟な頭と心と行ないを以って拝聴し.思惟し.思推し.分析し.検証し.確証を得て.理解しているだけなのだから…
聖なる苦(ドゥッカ)の真理である.全ての事象.存在は独立して単独には存在することが出来ない[諸行無常]な世界(此の岸)であり.全ての物事は、因果律(縁起)に従って常なく変化生滅してゆく移ろいであり、そうそう物事は思い通りには運んで行かないものだと全ての事象に冷徹に向き合い.理解するならば、無明の闇は振り払われ心は澄み渡り解脱する

世の中にある種々様々な苦しみ(ドゥッカ)は、執着を縁として生起する…

無明の闇の中を盲目的に手探りで真実を知ることなくして執着を造る人は愚鈍である、繰り返し苦しみ(ドゥッカ)に近づくのだから…

だから知る事あり.苦しみ(ドゥッカ)の生起のもとを観じ理解した人は.再生の素因(執着)をつくってはならない…
移ろうもの(無常)は全て空虚(ドゥッカ)な本質のものである…

一切の形成されたもの(現象)は苦(ドゥッカ)であると識ったなら、それによって人は一切の苦(ドゥッカ)を乗り越える…

これが清らかな道であり、真の勝利への道である。

現象に過ぎない感覚的な刺激による喜びを乗り越え.煩悩な激流を渡り.生存に対する執着を捨て.世間の執着から目覚め.妄迷を離れ、苦悩(ドゥッカ).煩悩の激流.生と老衰.憂いと悲しみ.再生から解き放たれ解放されるのです…

[私は今まで、それがドゥッカ(苦)である事を知らなかった…        
今まで知らなかったから苦しんでいた…

全てのものが苦(ドゥッカ)であると解った瞬間.心は完全なる安らぎを体験した.

これから心には微かにでも悩み苦しみは生まれない…最終的な平安の境地へ到達した…

やるべき事は、やり終えた…

成すべき事は、成し終えた…

育てるべきものは、育て終えた…

修養は完成した…

堅固なる心の解脱は揺るがない…

これが最後の誕生であり、これより再び此の世に生まれる事はなく、生の因縁は滅尽しつくした…]

①煩悩(存在欲)生存の素因

存在していたい(生きていたい)
価値ある存在でありたい
意味ある存在でありたい
生きる目的が欲しい…
②煩悩の衝動により、内界及び外界に意識を彷徨わせ探し求める
③煩悩(存在欲)の衝動は盲目的な無明(無知)の闇を晴らしたい.渇きにも似た無明を真理(真実.事実.現実.実相)で潤したいという欲望(渇望)である
④善心処・不善心処
煩悩(存在欲)は.永遠の存在の為にプラスだと感じる物事に対して.引き寄せたいと欲する(貪欲)
永遠の存在の為にマイナスだと感じる物事に対して.遠ざけたいと欲する(瞋恚.怒り)
永遠の存在の為にプラスかマイナスか迷うとき戸惑う(痴愚)
⑤理性(客観性)が煩悩(存在欲)による主観.自我.感覚.感情.欲望などに勝るとき慈悲に基づく対応を選択する(善処)
⑥身体的.感覚的.感情的.主観的な喜び.快感.安心.満足は無常な性質のものに過ぎず…執着.愛着するほどの価値はない。
⑦不善心処に向かうほど心は貧しくなり善心処へ向かうほど心は富貴となる…
⑧生きるとは.即ち欲望の具現である(生きる意欲)
⑨しかし煩悩(存在欲)に主導.差配された自我的欲望は不善であり、苦しみ.不満(ドゥッカ)は自我的欲望によって生じる
⑩知性.理性に主導.差配された欲望は善であり、喜び.快感.満足(スカ)は理性(知性.客観性)によって顕現る
⚫つまりは、心の貧しさにより.自分や所有の次元の事物に執着.愛着し魅入られて苦しみや不満を生じさせている事に気付かずに造り出し続けているのであり、故に無明の闇の中を盲目的に手探りで探し求めながら彷徨い生きていると例えられるのである。
数ある所有の次元の事物の何れかを所有していたり.新しいうちは.まだしも便宜的.短命.一時的であれ喜び.安心数.快感.幸せを得られるが常ならず無常な本質の現象に過ぎず、結果的に苦しみと不満を携えて生きることになる…
煩悩(所有欲)の欲求とは.決して満たされる事のない.要求に幾ら応えた処で更なる要求をしてくるだけの底なし沼のようなものであり、煩悩の要求に翻弄され執着.愛着し魅入られ.心を貧しくさせてゆく…
❖心が貧しい人の欲望
有ればあったで.まだまだ不満.
無ければ無いで.苦悩し.怒る…
❖心が富貴な人の欲望
無ければ無いで.満たされて.
有ればあったで.嬉しくて…
⚫自分のものだと握り締め、他人と分け合ったり、分け与えたり出来ない.物惜しみ.吝嗇な人は心に何かしら不満や苦しみや怒りを抱えて無明の闇の中を盲目的に彷徨っている人であり[良い悪い]という話ではなく、目覚め覚醒し.乗り越え超越し.解き放たれ解放されさえすれば、堅固な喜び.快感.幸せ.安心.安全.静逸な世界があることに気付けない憐れな人なのである…

🔵ドゥッカ
[思い通りにはならない]という人生の絶対真理
不安定さ・不完全さ・苦しみ・悩み・憂い・難儀さ・迷い・心痛・嫉妬・憎しみ・恐怖・哀しさ・悔い・飽き・退屈・儚さ・脆さ・弱さ・空虚さ・惨めさ・実質のなさ・不満・怒り・不本意・無常さ・無明・欲・渇きなど
🔵所有の次元の事物 
所有する事で幸せになる人生の目的物と勘違い.錯覚.妄想し.魅入られ.追い求める短命で無常な小楽に過ぎないもの.
金銭.財産.物欲.地位.名誉.称号.身分.異性.伴侶.家族.仲間.権威.権利.承認.理解.権力.勢力.威力.健康.長寿.若さ.知識.情報など
🔵存在の次元
人間性.精神性.人格.人の質.人柄.器量.寛容さ.実直さ.知性.存在性.本質的性質.霊性など
🔵真実を歪めるもの(色フィルター)
思い込み.勘違い.欲目.偏見.邪見.固定観念.既成概念.錯覚.誤解.無知.主観.感覚.感情.洗脳(染脳)など


「愚かなものは、実にそぐわぬ虚しい尊敬を得ようと願うであろう。修行僧らの間では上位を得ようとし、僧房にあっては権勢を得ようとし、他人の家に行っては供養を得ようと願うであろう」(Dh.73)

「在家の人々も出家した修行者たちも、私の行ないだけをよく知って欲しい。何かことが起ったら、それについて私の指導に従って欲しい。—— 愚かなものはこのように思う。こうして欲求と高慢とが高まる」(Dh.74)

「愚かなものはたとえ毎月(苦行僧の風習に習って一月に一度だけ)茅草の端につけて(ごく少量の)食物をとるようなことをしても、(その功徳は)真理をわきまえた人々の16分の1にも及ばない」(Dh.70)

「愚か者に知識があっても、それは彼には不利なことになってしまう。その知識は彼の好運(しあわせ)を滅ぼし彼の頭をうち砕く(人生が破滅する)」(Dh.72)

無理に自分を愛そうとする必要などない、だって皆んな世界中で一番自分を愛しているのだから、[もしそうじゃない]と思う人がいたら、その人は.もっと自分の心に素直になればいいだけの話し…
私の話は全て.我れを離れて、深淵なる真理の象徴としての如来が高次元に於いて.私(多々方路傍石)に向かって語っているのであり、私はその愚かで未熟な頭と心と行ないを以って拝聴し.思惟し.思推し.分析し.検証し.確証を得て.理解しているだけなのだから…