バンカース

若い人には人生ゲームのようなものだと言ったほうが理解しやすいかも知れないが、私の子供の頃にはバンカースゲーム(銀行ゲーム)というスゴロクゲームがあった…
人生を思うとき、何を得ようが.何を失おうが.諸行無常なこの世界、バンカースゲームに熱狂して世界中の土地や建物を買い占め、莫大な財を築き、世界中を旅して汎ゆる娯楽を享受し尽くしても必ずゲームは終わり、空虚さを後に遺すだけ

感覚に刺激を与え続けることが、喜び.幸せと錯覚している無明な人達は、このバンカースゲームに熱狂していた子供時代のまま成長して現実世界でも、その本質的な空しさに気付くことなく、現実世界でもバンカースゲームこそ人生の目的だと見誤ってやり続けている…
土壇場に至れば解る事なれど、今の若者は死して無に帰す事を怖れると聞く…
因果律(縁起)に遵った現象に過ぎない自分という存在を、実体的存在(永遠の霊魂を内包する存在)と錯覚するのも無明なれば、輪廻の激流を転生しながら流れ続ける定めを覚らず、この世界から見[無]に帰す.彼岸(仏界.事象の地平面の向こう側)から見れば[帰]する、輪廻転生からの解脱[成仏]が、本質的苦(ドゥッカ.不安定性.相対性の破れ)により成り立つ世界からの解放こそが、この世界で無に帰す慶事を識らず…
仏教にニ諦ありて、覚りなる世俗諦は溢れども、大悟なる勝儀諦への道は狭く、到達するものは少なし…